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電力損失や電圧降下でも使用する式、P=VIが基本の内容です。
電気機器や抵抗に電気が流れると、電気(エネルギー)が消費されます。
その消費される単位時間あたりの電気(エネルギー)を電力と呼んでいます。
電力とはワットのことです。
抵抗R(Ω)、流れる電流I(A)とすると、電力P(W)は、P=RI2となります。
これにオームの法則を代入すると、P=VIやP=V2/Rの式となります。
これらの式は、それだけで問題として出題されますので、覚えておきましょう。
P=VIは電力損失や電圧降下で使う式なので、これだけでも覚えておいてください。
電力量は電力の単位時間あたりの使用量のことを言います。
その関係式は電力P(W)とすると、電力量W(kW・h)はW=Ptとなります。
単純に、Pを2時間使用するとP×2、24時間使用するとP×24使用電力量と言うことになります。
ただし、単位が〔kW・h〕ということは、1000Wならば1kWとしなければなりません。
熱量とはジュールのことです(昔はカロリーで表示していました)
熱量というのはあくまで、電気理論という狭義の中での熱量です。難しく考えなくても、たとえ忘れたとしても失うものは、たまたま出題された1問の点数ぐらいなモノです。
1〔kW・h〕=3600〔kJ〕
P〔kW〕の電熱器をt〔h〕使用した場合の発熱量はQ〔kJ〕
Q=Pt〔kJ〕
ご家庭で、1500Wの布団乾燥機を1時間使用したときの発熱量は。 1500W=1.5kW Q=1.5×3600=5400kJ
抵抗R〔Ω〕に電圧V〔V〕を加えると、電流l〔A〕が流れ、P〔W〕の電力が消費される場合、抵抗R〔Ω〕を示す式として、誤っているものは。
イはR=V/Iですのでオームの法則として正しいです。
ロはR=P/I2ということですので、P=VIという式をPに当てはめてみます。
R=VI/I2はR=V/Iとなるので正しいです。
ハはR=V2/Pということですので、P=VIという式をPに当てはめてみます。
R=V2/VIはR=V/Iとなるので正しいです。
ニはR=PI/Vということですので、P=VIという式をPに当てはめてみます。
R=VII/VはR=II R=I2となりますので、正しくありません。
正解は“ニ”となります。
文字式の計算が出来ないと、公式や関係式の変形や代入を全て暗記しないといけなくなります。しっかりと出来るようになっておきましょう。
電線の接続不良により、接続点の接触抵抗が0.2〔Ω〕となった。この電線に10〔A〕の電流が流れると、
接続点から1時間に発生する熱量〔kJ〕は。ただし、接触抵抗の値は変化しないものとする。
イ.72 口.144 ハ.288 ニ.576
電力を求めるためP=VIの式を使いたいが、電圧が提示されていないので算出する。
V=IR=0.2×10=2V
これで電力を算出する。
P=VI=2×10=20W 1時間当たりの熱量を計算するため、Q=Ptの式を使う。
Q=20×3600=72000W・t 単位はkW・tなので、72kW・t
答えは“イ”です。
1kW=1000Wです。これを計算するのはあとでも先でもかまいません。
とりあえず、W(ワット)まで計算したあと、分なのか時間なのか間違えずに計算すれば、選択肢の中に同じ数字を持つモノがありますので、それが正解です。
乱暴ですが、未だかつてこの手の問題で、72000と7200とか72と7200が選択肢で混在したことはなかったとはずです(過去10年くらいしか調べてないので間違っていたらごめんなさい)
消費電力が300〔W〕の電熱器を、2時間使用したときの発熱量〔kJ〕は。
イ.1,080 口.2,160 ハ.2,520 二.3,020
Q=Pt=0.3kW ×(3600kj×2時間)=2160kW・h
答えはロです。
※1〔kW・h〕=3600〔kJ〕を覚えておきましょう。
単相100〔V〕の屋内配線回路で、消費電力100〔W〕の白熱電球4個と負荷電流5〔A〕、力率80〔%〕の単相電動機1台を10日間連続して使用したときの消費電力量〔kW・h〕の合計は。
イ.8 口.192 ハ.216 二.246
白熱電球4個の電力 0.1kW×4=0.4kW
電動機の電力 P=IV=5×100=500W 0.5kW×0.8=0.4kW
上記を10日間 (0.4+0.4)×24×10=192kW・h
答えはロです。
図のような単相交流回路で、抵抗負荷の消費電力〔kW〕は。
イ.1 口.3 ハ.3 二.4
回路に流れる電流は、電圧降下が204V-200Vなので4V
I=V/R=4/(0.1+0.1)=20A
P=IV=20A×200V=4000W=4.000kW
答えはニです。
電線の抵抗負荷に惑わされない様にしましょう。
図のような単相3線式回路で、消費電力1〔kW〕、2〔kW〕、3〔kW〕の負荷はすべて抵抗負荷である。
電流計の指示値〔A〕は。
イ.0 口.10 ハ.20 二.40
1kWに流れる電流はP=IVより I=P/V=1000/100=10A
2kWに流れる電流は I=P/V=2000/100=20A
電流の差は20A-10A=10A
答えはロです。
提示されているのはkWなので、P=IVの関係式を使用するときにはWになおします。ただし、そのまま計算しても0.001と0.002となり、差は0.001です。
選択肢はそこまで意地悪に提示されませんので、選択は出来るかと思います。
中の線は中性線となりますので、抵抗負荷が平衡しているときには電流は流れないので電流も電圧も0となります。
定格電圧V〔V〕、定格電流l〔A〕の三相誘導電動機を定格状態でt時間連続運転したところ、消費電力量がW〔kW・h〕であった。この電動機の力率〔%〕を表す式は。
暗記していないと分からないと嘆かないでください。
選択肢を減らして正解に近づきます!
P=VI W=Pt
W=VIt〔kW・h〕ここまで分かりますね。
この時点で、選択肢にVItが含まれるモノはないですか?
ロとハが該当します。
あとは分母を3倍するのか√3倍にするのかの選択を迫られます。
ここで、√3くらいはうろ覚えでも覚えていてほしいモノです。(三相ときたら、3か√3を思い出しましょう)
答えはハです。
解法(理解できる方は読んでいただければと思います)
三相の電力 P=√3VIcosθ
W=Ptへ代入
W=√3VIcosθt Wをキロワットにするために×1/1000
W=√3VIcosθt×1/1000 力率は百分率なので×1/100
Cosθ=W/(√3VIt×1/100000) Cosθ=W/√3VIt×105
105は何なのかというと、WをkWにする際のゼロ3つ(000)と百分率にするときのゼロ2つ(00)をべき乗という表し方をしたモノです。べき乗はマイナスの指数が×1/10、プラスの指数が×10という意味です。
このようになります。べき乗”に関してはそれぞれの年代によって学習内容に違いがあるので「やっているはず」とすることは出来ません。
ですので軽くご説明を。
左の図を上から見ていって、何をやっているか分かりますでしょうか?
「cosθ=」の式に変してるのす。
式変形に関してわからない方は、こちらのページで学んでください。
そして、途中で「べき乗」が出てきています。
単に「乗数」です。102は10の二乗ですし、103は10の三乗です。
おわかりいただけましたか?
物理などの学問では、とてつもない大きな数字や小さな数字を扱います。それをそのまま式にしてゆくと、長くなるだけではなく非常に見づらく分かりづらい式となってしまいますので『まとめられるものはまとめよう』というマナーの様なモノがあるのです。そのうちの一つがべき乗で、105の様な表現をします。また、1/1000などもべき乗で表すと、10-3と表すことが出来ます。
数学が苦手な人は、特に覚えようとしなくても大丈夫です。
電気工事士になったとしても、現場では扱いません。
※ 問題のパターンが少ないので、練習問題は載せませんが、P=VIなどは電圧降下や電力損失で使いますので、忘れないでください。
『難しくてなんだかわからないや』という方へ
難しい数式も、基礎が分からなければ何にも出来ずに立ち往生します。
電気工事士試験の学習に出てくる式は中学レベルです。
少なくとも義務教育レベルの勉強というのは、何かしらの役に立つものです。もしも、あなたにお子さんがいたら、しっかりとやっておくように言って聞かせるのがよいと思いますよ。基礎学力というのは、色々な選択肢を選ぶためのパスポートです。また、基礎学力をつけるということは考える力を磨く(賢くなる)鍛錬です。
今、お困りのあなたには、それが身にしみて理解できたことと思います。
まぁ、別に深刻に考える必要もないかもしれません。今困っている人は、必要な分、勉強すればよいことですから。
でも、大人になって基礎学問を学ぶのは、結構苦労します。聞く相手がいませんからね。見栄も外聞もあります。
多少でしたら、サポートできますので分からなければご質問ください。