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過去に第2種電気工事士の資格を取得された方の中には、計算問題を全て捨てて暗記問題だけに絞って勉強された方もおりました。 実のところ、計算問題をすべてやらないと何点失うかというと、10~20点です。これは合成抵抗から始まり、オームの法則、電力計算、電力損失、電圧降下、許容電流計算、諸々を含めると10問くらいはあるということです。
さて、参考書などを見られた方は、あまりの式の多さにうんざりしているのではないでしょうか?
参考書を見ると何故こんなに式の数を載せるのかが理解できません。理解させたいのか合格させたいのか、全く意味不明と言ってもイイでしょう。
当サイトは合格を勝ち取っていただくために、必要最低限の公式や内容暗記をもとに、試験に出題されるいろいろな問題に対処していただけるように、内容を精査しております。参考書とは違ったアプローチで、10問の内の半分を取る目的に絞っています。是非、点を取るための方法を身につけてください。
基本的なことが何も分からない人のために、最初は非常にかみ砕いて説明していますので、まどろっこしいかもしれませんが、ご了承ください。
それでは、例題をやりながら説明をしてゆきます。
出来ることなら、ノートを用意しご自分で計算をしながら進めていただくと効果的です。
図のような回路で、スイッチSを閉じたとき、a-b端子開の電圧〔V〕は。
イ.30 ロ.40 ハ.50 二.60
さてこれを解きましょうと言っても、理屈や公式が頭の中にないと解けません。
いわゆるオームの法則というモノです。
【Iは電流(単位はアンペア)、Vは電圧(単位はボルト)、Rは抵抗(単位はオーム)】
基本の式を変形させると以下のような式が2つできあがります
一つ覚えておくと、いくらでも問題に対応できるので、覚えやすいモノを覚えましょう。
また、下記のような覚え方があります。
上、左下、右下の順に読むと、「V」、「I」、「R」です。
この読み順だとそのまま公式となるため、確実にこの公式を覚えることが出来ます。
「ブイ・アイ・アール」これは忘れてはいけない言葉です。
たとえば電圧(V)を求める場合、Vを隠すとIRが横並びで残ります。
これをI×Rと考えます。
では、今度はIを隠してみましょう。Vが上、Rが下の分数のようになります。
これをV÷Rと考えます。
同じようにRを隠すと、Vが上、Iが下の分数のようになります。
これをV÷Iと考えます。
この図が頭に入っていればオームの法則はばっちりです。
では、これだけで問題が解けるかというと、そうではありません。
この問題は、H23年に実際に出題されたa-b間の電圧を求める問題です。
もう一度図を見てみましょう。
選択肢はイ.30 ロ.40 ハ.50 ニ.60
公式だけではなく電気の特性を理解していないと解けない問題なのです。
電気はプラスから出ていって、マイナスで戻ってくる。こんな感じで認識しているでしょうか?それで結構です。この回路は直流の回路で、時計回りに回っていると考えていればいいです。そしてどこか回路が途切れていれば電気は流れません。
上記のことから、余計な部分を除いて電気がどのように流れているのかを図にしてみます。
回路がとぎれていれば電流は流れないので、赤線のように電気は流れています。
“スイッチSを閉じたとき”とあるので、スイッチを閉じて(入れて)みます。
すると不思議なことに図のように電気が流れ始めます。
実は、電気は抵抗のない方に優先的に流れる性質があるのです。
更に余計な部分を除いてみると下記のようになります。
さて、かなり分かりやすい図になりました。問題では緑色の抵抗を挟んだ部分の電圧を問われています。
ここからが計算です。いくつか決まり事も出てきますので、そこは覚えていきましょう。
こういった問題の場合に、まずしなければならないのは全体の電圧、全体の電流、全体の抵抗値を算出する計算です。
全体の電圧=100V
全体の電流= ?
全体の抵抗= ?
以外と何も分かっていませんね。でも抵抗は二つあります。抵抗は回路の1つの線上に2つあります。この状態を直列と言います。
直列に抵抗が接続されているときは、その抵抗値をそのまま合計することが出来る決まりです。
30Ω+30Ω=60Ω
電圧の他に抵抗が分かりました。
全体の電圧=100V
全体の電流= ?
全体の抵抗=60Ω
ここで I=V/R の登場です。早速当てはめてみましょう。 I=100/60
I=5/3(約1.7) 全体の電圧=100V
全体の電流=5/3A
全体の抵抗=60Ω
これで材料がそろいました。 ところで、この問題はa-b間の電圧と言うことでしたね?
実は、電圧というのは抵抗を通るたびに弱くなるのです(そう考えてください)
水の圧も長い水道管の末端では弱くなるのと同じです。a-b間に来るまでに、30Ωの抵抗が一つありますから当然電圧が下がっています。電気はプラスから出ていって、マイナスで戻ってくるのですが、電圧は戻ってくるときは0Vになってしまいます。そうでなければ、回るたびに電圧が増えていったり減っていったりすることになります。
電流はどうなるかというと、電気の量と考えればわかりやすいのではないでしょうか。流れている電気の量は全体で一定です。それが1本の電線に流れているのですから、どこで計っても同じといえます。
I=V/R 5/3(A)=100(V)/60(Ω) となっていましたが、
これは 100(V)=5/3(A)×60(Ω)と変形できますね。V=IR です。
つまり、電流5/3(A)の時に、60(Ω)の抵抗値があると、100(V)の電圧になると言うことですから、30(Ω)の抵抗値の場合も計算ができます。 V=5/3(A)×30(Ω) =50(V)
答えは“ハ”となります。
もっと簡単な計算方法もあります。電流を計算しなくても良い方法です。
どちらも同じ30Ωですから、電圧は等しく使われていると考えるのが妥当です。
100Vを30Ωの抵抗2つで等しく分けて使っているのですから50Vずつ使われています。
これを式にしてみましょう。
100V ×(30Ω/60Ω)=50V です。
答えは“ハ”となります。
今回は直列回路の計算でしたので、次は抵抗が2つの線に分かれて接続されている並列回路の問題をやってみましょう。
図のような回路で、電流計 Aの指示値〔A〕は。
イ.2 ロ.4 ハ.6 二.8
まず、並列回路では電流が分岐する先にある抵抗の値によって、分かれてしまいます。
全体では一定ですが、線が2本になる部分ではそれぞれに分かれてしまいます。
一方、電圧は2本に分かれても変わりません。
簡単に〔直流は分圧、並列は分流〕と覚えてしまいましょう! さて、この計算の場合にも全体の数値の整理をしてみましょう。
全体の電圧=48V
全体の電流=?
全体の抵抗=?
まずは全体の抵抗を求めましょう。
しかし、並列の抵抗はどのように求めればよいのでしょうか?
並列接続部分の拡大図です。
これは、和分の積という公式?が必要になります。
これがそうです。
なぜ、和分の積というか分からない方がいらっしゃいましたら、下記の式を見てご理解が進めば幸いです。足し算の意味である「和」とかけ算の意味である「積」で分数になっているのです。分数というのは、「上の数」÷「下の数」という意味ですから、この公式を覚えるときは、和分の積という言い方で覚えると頭に入りやすいと言われています。
それでは、先ほどの問題をこの公式に当てはめて計算してみます。
並列となっているこの部分の抵抗は2Ωです。
あとは、この2Ωと直列になっている6Ωを合計すると、全体の抵抗値は8Ωと算出できます。
つぎにI=V/Rの式に当てはめて、
I=48(V)/8(Ω)=6A全体の電流は6Aです。
これで、並列部分にかかっている電圧を求めることが出来ます。
V=IR =6(A)×2(Ω) =12V
では、並列部分の3Ω側の電流をI=V/Rの式で計算しましょう。
I=12(V)/3(Ω) =4A
正解は“ロ”となります。
なんだかややこしいとお思いですか?
実は、難しい問題を先に例題としてあげてみたのです。
難しい問題も簡単な問題が複合されているだけなのです。 使っている公式は、たったの2つ。Ωの公式と和分の積だけです。
では、簡単な例題で復習してゆきましょう。
1.電流を求めよ。
2.抵抗を求めよ。
3.電圧を求めよ。
4.a-b間の合成抵抗を求めよ。
5.a-b間の合成抵抗を求めよ。
6.a-b間の合成抵抗を求めよ。
I=V/R=150/60=2.5A
R=V/I=220/0.055=4000Ω
※ 55mA=0.055A 1A=1000mA
V=IR=0.5×20=10V
並列部分:和分の積を使い(20×30)/(20+30)=12Ω
直列なので、そのまま合計 12+8=20Ω
10Ωと15Ωの並列部分
(10×15)/(10+15)=150/25=6Ω
回路下の合計 3+6=9Ω
回路上下並列の計算 (3×9)/(3+9)=27/12=2.25Ω
左の並列 (2×2)/(2+2)=4/4=1Ω 右の並列 (3×6)/(3+6)=18/9=2Ω
回路下直列合計 1+2=3Ω
回路上下並列の計算 (3×6)/(3+6)=18/9=2Ω
小さな並列から順に計算してゆくことがポイントです。
計算問題は、とにかく問題数をこなすことが必要です。練習問題をさらに解いて実力を付けましょう。
1.図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗〔Ω〕は。
イ.1 ロ.2 ハ.3 二.4
2.図のような回路で、端子a-b間の合成抵抗〔Ω〕は。
イ.1.5 ロ.1.8 ハ.2.4 二.3.0
3. 図のような直流回路において、a-b間の電圧V〔V〕は。
イ.4 ロ.6 ハ.8 二.10
4.図のような直流回路で、a-b間の電圧〔V〕は。
イ.10 ロ.20 ハ.30 二.40
5.図のような直流回路で、電圧計 V が24〔V〕を指示しているとき電流計 A の指示値〔A〕は。
イ.1 ロ.2 ハ.4 二.8
6.図のような回路で、電流計 A の値が2〔A〕を示した。このときの電圧計Vの指示値〔V〕は。
イ.16 ロ.32 ハ.40 二.48
(6×6)/(6+6)=3Ω 3+3=6Ω (3×6)/(3+6)=2Ω
(3×3)/(3+3)=1.5Ω 1.5+3=4.5Ω (3×4.5)/(3+4.5)=1.8Ω
(4×4)/(4+4)=2Ω
2+2=4Ω
(4×4)/(4+4)=2Ω
2+2=4Ω(全体の抵抗)
I=V/R=16/4=4A(全体の電流) V=IR=4×2=8V
I=V/R=200/50=4A
20Ωにかかる電圧 V=4×20=80V
30Ωにかかる電圧 V=4×30=120V
aの地点は100V電源2つの間であり、電圧は100Vしかかかっていない。
一方、bの地点は20Ωの抵抗により80V失った電圧120Vがかかっている。
よって、a-b間の電圧を測ると、120-100=20Vが値として出る。
電流計のある方の合成抵抗は4/3Ω
電圧計がある方の合成抵抗は4Ω
全体の電流を求める I=V/R=24/4=6A
電流計のある方の電圧を求める V=IR=6×4/3=8V
I=V/R=8/2=4A
4+4=8 (8×8)/(8+8)=4Ω
(4×4)/(4+4)=2Ω(左側の合成抵抗)
V=IR=2×8=16V(左側にかかる電圧)
I=V/R=16/2=8A(全体の電流)
V=IR=8×4=32V
いろいろな解き方があるので、これが最良とは申しません。 みなさん自身がやりやすい方法で、オームの法則を駆使していただければ、この手の計算問題は必ず解けます。頭の中で整理して計算してゆけない人は、問題用紙に解法をきちんと書いてゆくことをおすすめいたします。そうすれば、混乱することはありません。